中折れ・「妻だけED」とは:医学上の呼び方と、相談するときに知っておくこと

この記事の要点

  • 勃起が途中で続かなくなる「中折れ」も、ED(勃起不全)の範囲に入ります。ED治療薬の添付文書は、勃起の「維持」ができないことも勃起不全に含めています。
  • 「妻だけED」は医学用語ではありません。医学の分類には、心因性のEDを「全般型」と「状況型(特定の状況で起きるもの)」に分ける考え方があります。
  • 原因が体の側にあるのか、気持ちの側にあるのかは、本人の印象だけでは分けられません。確かめるのは医師の診察です。
目次
  1. 結論:中折れはEDの範囲に入ります。「妻だけED」は医学用語ではありません
  2. 中折れがEDに含まれる理由
  3. 「妻だけED」は、医学ではどう呼ばれているか
  4. 原因について、研究が述べていること
  5. 相談するときに知っておくこと
  6. このページで述べていないこと
  7. よくある質問
  8. 本治療に関する注意事項

公開日 / 最終更新日

勃起はするのに、途中で続かなくなる。 特定の相手や場面のときだけうまくいかない。

このページでは、こうした状態がED(勃起不全)にあたるのかを、 ED治療薬の添付文書と、医師が勃起の状態を確かめるときに使う質問票から整理します。 「妻だけED」という言い方が、医学ではどう扱われているかもあわせて示します。

結論:中折れはEDの範囲に入ります。「妻だけED」は医学用語ではありません

  • 中折れ(勃起を最後まで維持できない)は、EDの範囲に入ります。 ED治療薬の添付文書は、勃起が得られないことだけでなく、維持できないことも勃起不全に含めています。
  • 「妻だけED」は医学用語ではありません。 医学の分類には、心因性のEDを「全般型」と「状況型(特定の状況で起きるもの)」に分ける考え方があります。
  • 原因が体の側か、気持ちの側かは、本人の印象だけでは分けられません。 確かめるのは医師の診察です。

中折れがEDに含まれる理由

ED治療薬の添付文書は、勃起不全を次のように説明しています。

満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者

(出典:シアリス錠 添付文書 4. 効能又は効果)

「維持」が入っていることから、勃起を最後まで保てない状態も勃起不全に含まれます。 勃起がまったく起きないことだけを指す言葉ではありません。

医師が勃起の状態を確かめるときの質問にも、「維持」が入っています

勃起の状態は、国際勃起機能スコア(IIEF)という質問票で確かめることがあります。 添付文書には、臨床試験でこの質問票を使ったことと、勃起機能を測る6つの質問が載っています。

6つのうち3つが、勃起の維持についての質問です。

質問 内容(添付文書の表記のまま)
4 ここ4週間、性交中、挿入後何回勃起を維持することが出来ましたか。
5 ここ4週間で、性交中に、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか。
15 ここ4週間、勃起を維持する自信の程度はどれくらいありましたか。

(出典:シアリス錠 添付文書 17. 臨床成績 表1)

残りの3つは、勃起を経験した回数、挿入できる硬さになった回数、挿入できた回数を聞く質問です。

また、臨床試験で参加者がつけた日誌の質問にも、 「勃起は十分に持続し、性交に成功しましたか?」という問いがあります(同 表2)。

中折れは、EDを確かめるときに正面から聞かれる項目です。 相談するときに「勃起はするので、EDではないと思っていた」と遠慮する必要はありません。

中折れだけの割合は確認できませんでした

EDの割合を年代別に示した国内の調査はありますが、 中折れだけの割合を示した調査は、確認した論文の中には見つかりませんでした。 EDの全体の割合は EDは何人に1人?にまとめています。

「妻だけED」は、医学ではどう呼ばれているか

「妻だけED」は、特定の相手との性行為のときだけ勃起がうまくいかない状態を指す、一般の言い方です。 医学用語ではありません。

医学の分類には「状況型」という考え方があります

心因性のEDの分類として、次の2つに分ける考え方が提案されています。

分類 内容
全般型(generalized) 場面や相手によらず起きるもの
状況型(situational) 特定の状況で起きるもの

(出典:Rosen RC. Urol Clin North Am 2001;28:269-78. PMID 11402580)

状況型は、性的な場面の特定の性質によって、ときどき起きるEDのための分類と説明されています。

(出典:Sachs BD. Int J Impot Res 2003;15:72-78. PMID 12605243)

確かめられなかったこと

「特定の相手との間でだけ起きるED」が、状況型のどこに分類されるかは、確認できませんでした。 下位の分類を定めたとされる国際学会の報告は、抄録も無料の全文も公開されていないためです。

このページでは、「妻だけED」を医学上の分類のひとつとしては扱いません。 「状況によって起きるEDという考え方がある」ところまでを示しています。

原因について、研究が述べていること

「気持ちの問題」と決めつけない

上の分類は心因性のEDについてのものですが、 器質性(体の側の原因)と心因性という分け方そのものに問題がある、と指摘する論文もあります。 どちらか一方とは限らないためです。

(出典:Sachs BD. Int J Impot Res 2003;15:72-78. PMID 12605243)

40歳未満のEDについての総説は、心因性が多いとしたうえで、 少なくとも15〜20%には器質的な原因があると述べています。

(出典:Papagiannopoulos D ほか. Asian J Androl 2015;17:11-16. PMID 25370205)

特定の場面でだけ起きるからといって、体の側の原因が無いとは言えません。

研究が挙げている要因

若い男性のEDについての総説は、心因性の要因として、 うつ、不安、パートナーとの関係の問題を挙げています。 器質性の要因としては、血管、ホルモン、神経などを挙げています。

(出典:Nguyen HMT ほか. Sex Med Rev 2017;5:508-520. PMID 28642047)

これは研究が挙げている要因の一覧であって、 一人ひとりの原因を示すものではありません。 「パートナーとの関係」が挙がっていても、パートナーが原因だという意味ではありません。

勃起そのものがどういう仕組みで起きるかは 勃起の仕組みで扱っています。

相談するときに知っておくこと

相談先は、泌尿器科やED治療を行っている医療機関です。

  • 中折れも、相談してよい症状です。 上に書いたとおり、医師が確かめる質問に正面から入っています。
  • 「特定の相手のときだけ」という状況も、そのまま伝えてかまいません。 状況によって起きるかどうかは、分類にも関わる情報です。
  • 飲んでいる薬や持病は、必ず伝えます。 ED治療薬には、一緒に使ってはいけない薬があります。

オンライン診療で相談する場合に必要なことと、問診で聞かれることは オンライン診療で処方を受けるにはにまとめています。

パートナーに話せていない場合は EDをパートナーに言えないときを、 妊活中の場合は 妊活中の中折れ・EDをご覧ください。 妊活中は、条件によって保険の対象になる場合があります。

このページで述べていないこと

  • ご自身がEDかどうか、中折れの原因が何か。 判断は医師の診察によります。
  • 中折れだけの割合。 確認した論文に見つかりませんでした。
  • 「妻だけED」が医学上どの分類に入るか。 下位の分類を定めた報告を確認できませんでした。
  • パートナーとの関係をどう変えればよいか。 このページは医療の情報を扱っており、関係についての助言はしていません。
  • 心因性のEDに薬が効くかどうか。 確認した論文の抄録に、この点を述べたものはありませんでした。

よくある質問

中折れはEDですか

ED治療薬の添付文書は、勃起不全を「満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない」状態と説明しています。 勃起を維持できない中折れも、この範囲に入ります。 医師が勃起の状態を確かめる質問票でも、6つの質問のうち3つが勃起の維持についての質問です。

「妻だけED」は病気ですか

「妻だけED」は医学用語ではありません。 医学の分類には、心因性のEDのうち、特定の状況で起きるものを「状況型」と呼ぶ考え方があります。 ただし、特定の相手との間でだけ起きるものがどう分類されるかは、このページでは確認できませんでした。

妻だけEDの原因はパートナーにあるのですか

そうとは言えません。 研究は心因性の要因のひとつとして「パートナーとの関係の問題」を挙げていますが、 これは要因の一覧であって、パートナーが原因だという意味ではありません。 体の側の原因が含まれることもあります。

中折れは年齢のせいですか

年齢とともにEDの割合が高くなることは、国内の調査で示されています。 ただし、一人ひとりの原因が年齢かどうかは、診察で確かめるものです。 年代別の割合は、このページの上のほうで紹介した記事にまとめています。

本治療に関する注意事項

  • 本治療は自由診療(保険適用外)です。費用は全額自己負担となります。
  • タダラフィルは国内で勃起不全(性行為の前に服用する用法)や前立腺肥大症等の治療薬として承認されていますが、 ED治療を目的とした連日服用は国内で承認された用法ではなく、適応外使用です。
  • 適応外使用のため、重篤な副作用が生じた場合も 医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
  • 本サービスは20歳以上の方を対象としています。
  • 服用の可否は医師の診察により判断されます。自己判断で服用しないでください。
  • 硝酸剤(ニトログリセリン等)やリオシグアトを使用中の方、重度の心疾患・肝障害がある方などは服用できません。 毎日飲む用法の製品では、重度の腎障害がある方も服用できません。 条件は製品ごとに異なるため、医師が添付文書の禁忌で確認します。
  • 亜硝酸系の吸入剤(ラッシュ・ポッパーズ等)を使用している方、または使用する予定のある方は服用できません。 併用すると急激な血圧低下を起こすおそれがあるためです。
  • 効果・副作用には個人差があります。
  • 諸外国の情報:米国ではEDに対し、タダラフィル2.5mgを1日1回服用し、 効果と忍容性に応じて5mgに増量する用法が承認されています。EUでも2.5mg・5mgの1日1回の用法があります。 海外の添付文書でも、硝酸剤との併用による過度の血圧低下、持続勃起、突然の視力・聴力の低下、 心血管系の事象などへの注意が示されています。 海外での承認は、日本でのED目的の連日服用の承認や、すべての方に対する安全性を意味するものではありません。

お問い合わせ先:info@medical-ishin.com