
この記事の要点
- 医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用した場合の健康被害を対象とする制度です。
- 承認された効能・効果、用法・用量から外れた使用は、原則として対象になりません。
- 制度の内容はPMDAが公表しています。該当する記載を出典として示しています。
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自由診療の説明の末尾に 「医薬品副作用被害救済制度の対象外となります」という一文を 見かけることがあります。このページでも書いています。
では、何から外れるのか。 そこを説明した記事が見当たらないので、 公的機関の資料をもとに整理します。
制度そのものの説明
医薬品副作用被害救済制度は、 医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害に対して、 医療費などの給付を行う公的な制度です。1980年に創設されました。
医薬品等は有効性と安全性のバランスの上に成り立っているものであり、 副作用の予見可能性には限度があること等の医薬品等のもつ特殊性から、 その使用に当たって万全の注意を払ってもなお発生する副作用を 完全に防止することは、現在の科学水準をもってしても非常に困難であるとされています。
(出典:PMDA 医薬品副作用被害救済制度の概要)
民法で賠償責任を追及することが難しいために設けられた制度だと 説明されています。副作用が起きたときに、誰かの過失を証明しなくても 給付を受けられる仕組みです。
給付は7種類あります
- 医療費
- 医療手当
- 障害年金
- 障害児養育年金
- 遺族年金
- 遺族一時金
- 葬祭料
(出典:PMDA Q&A A10・給付の種類と給付額)
どこまでの健康被害が対象か
対象になるのは、副作用による
- 入院を必要とする程度の疾病
- 日常生活が著しく制限される程度の障害
- 死亡
です(出典:PMDA Q&A A3)。
軽い症状は対象になりません。 頭痛やほてりで受診した、という程度では給付の対象外です。
なお、病院で処方された薬でも、薬局で買った市販薬でも対象になります。
「適正な使用」の中身
ここがこの制度の要です。PMDAは次のように説明しています。
「適正な使用」とは、原則的には医薬品等の容器あるいは添付文書に記載されている 効能・効果、用法・用量及び使用上の注意に従って使用されることが基本となりますが、 個別の事例については、現在の医学・薬学の学問水準に照らして 総合的な見地から判断されます。
(出典:PMDA Q&A A2)
添付文書どおりの使い方が「基本」で、個別の判断がある、という構造です。
対象にならない場合
PMDAは対象にならない場合として、次を挙げています。
- 予防接種法に基づく予防接種によるもの(別の公的救済制度があります)
- 製造販売業者などに損害賠償の責任が明らかな場合
- 救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて使用し、その発生が予め認識されていた等の場合
- 対象除外医薬品による場合
- 入院治療を要する程度でない場合、日常生活が著しく制限される程度の障害でない場合
- 請求期限が経過した場合
- 医薬品等の使用目的・方法が適正であったとは認められない場合
(出典:PMDA Q&A A7)
ED目的でタダラフィルを毎日飲む場合はどうなるか
このメディアが扱っている低用量タダラフィルの連日服用は、 国内で承認された用法ではありません(適応外使用)。
承認されている内容はこうです。
| 製品 | 承認されている効能・効果 | 承認されている用法 |
|---|---|---|
| ザルティア錠2.5mg / 5mg | 前立腺肥大症に伴う排尿障害 | 1日1回5mg(腎障害などでは2.5mgから開始することがある) |
| シアリス錠5mg / 10mg / 20mg | 勃起不全 | 1日1回、性行為の約1時間前。投与間隔は24時間以上 |
ED目的の連日服用は、どちらの欄にも当てはまりません。
厚生労働省は「救済対象にならないことを明示せよ」としています
医療広告ガイドラインは、自由診療で未承認医薬品等を用いる場合に 医療機関が明示すべき事項として、次を挙げています。
承認を受けて製造販売されている医薬品・医療機器・再生医療等製品であっても、 原則として決められた効能・効果、用法・用量及び使用上の注意に従って 使用されていない場合は救済対象にならないことを明示すること
(出典:医療広告等ガイドライン 第3-3 2 広告可能事項の限定解除の具体的な要件。令和8年3月30日最終改正)
同じガイドラインは「未承認医薬品等」を 「承認等されていない医薬品…あるいは承認等された効能・効果又は 用法・用量が異なる医薬品」と定義しています。 適応外使用は、ここに含まれます。
手続きの上では、判定するのはPMDAと厚生労働大臣です
一方、PMDAの資料に「適応外使用は一律に対象外」という条文があるわけではありません。 書かれているのは、
- 適正な使用は添付文書どおりが基本(A2)
- ただし個別の事例は総合的な見地から判断される(A2)
- 使用目的・方法が適正であったとは認められない場合は対象外(A7)
という3点で、判定するのはPMDAと厚生労働大臣です。 処方するクリニックでも、このメディアでもありません。
読者としてどう考えればよいか
給付の対象とならない場合があり、給付を保証することはできません。
厚生労働省が医療機関に「救済対象にならないことを明示せよ」と求めており、 このページを含め、自由診療の説明に出てくる「対象外」の一文は その要請に基づくものです。
手続き上の判定が個別に行われることは、 「自分の場合は対象になるかもしれない」と期待してよい理由にはなりません。
承認されている規格でも、承認されていない規格でも同じです
比較表には「国内で承認されている規格」と 「国内に承認されている規格がない・海外製」の両方が出てきますが、 ED目的の連日服用という使い方は、どちらでも適応外です。
規格の承認の有無と、使い方が適正かどうかは別の話です。 規格については タダラフィル3.5mgとは?をご覧ください。
請求には期限があります
| 給付の種類 | 請求の期限 |
|---|---|
| 医療費 | 費用の支払いが行われたときから5年以内 |
| 医療手当 | 医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内 |
| 障害年金・障害児養育年金 | 定められていません |
| 遺族年金・遺族一時金・葬祭料 | 死亡のときから5年以内(注あり) |
(出典:PMDA 請求期限)
よくある質問
個人輸入した薬は対象になりますか
制度の対象は厚生労働大臣の許可を受けた医薬品です。 個人輸入した医薬品については、 タダラフィルの通販は危険?で 公表されている情報を整理しています。
市販薬なら対象になりますか
PMDAは「病院・診療所で投薬された医薬品等、薬局などで購入した医薬品の いずれでも救済の対象となります」としています(一部、対象除外医薬品あり)。
ただし対象になるのは適正に使用した場合で、この点は処方薬と同じです。 市販薬については タダラフィルは市販で買える?をご覧ください。
保険が使えないことと、救済制度の対象外は同じ話ですか
別の話です。 保険適用は費用を誰が負担するかの話、 救済制度は副作用が起きたときの給付の話です。 タダラフィルは保険適用になる?もあわせてご覧ください。
相談したいときはどこに聞けばよいですか
PMDAに救済制度相談窓口が 設けられています。
本治療に関する注意事項
- 本治療は自由診療(保険適用外)です。費用は全額自己負担となります。
- タダラフィルは国内で勃起不全(性行為の前に服用する用法)や前立腺肥大症等の治療薬として承認されていますが、 ED治療を目的とした連日服用は国内で承認された用法ではなく、適応外使用です。
- 適応外使用のため、重篤な副作用が生じた場合も 医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
- 本サービスは20歳以上の方を対象としています。
- 服用の可否は医師の診察により判断されます。自己判断で服用しないでください。
- 硝酸剤(ニトログリセリン等)やリオシグアトを使用中の方、重度の心疾患・肝障害がある方などは服用できません。 毎日飲む用法の製品では、重度の腎障害がある方も服用できません。 条件は製品ごとに異なるため、医師が添付文書の禁忌で確認します。
- 亜硝酸系の吸入剤(ラッシュ・ポッパーズ等)を使用している方、または使用する予定のある方は服用できません。 併用すると急激な血圧低下を起こすおそれがあるためです。
- 効果・副作用には個人差があります。
- 諸外国の情報:米国ではEDに対し、タダラフィル2.5mgを1日1回服用し、 効果と忍容性に応じて5mgに増量する用法が承認されています。EUでも2.5mg・5mgの1日1回の用法があります。 海外の添付文書でも、硝酸剤との併用による過度の血圧低下、持続勃起、突然の視力・聴力の低下、 心血管系の事象などへの注意が示されています。 海外での承認は、日本でのED目的の連日服用の承認や、すべての方に対する安全性を意味するものではありません。
お問い合わせ先:info@medical-ishin.com